たった20秒で不安をやわらげる方法|心理学が教える「下方比較」の力

心が軽くなる心理学

こんにちは、公認心理師のかぼです。

誰かと比べて落ち込んだり、未来を考えて不安が押し寄せたりすることはありませんか?

  • 「こんな給料でこれから大丈夫かな…」
  • 「友達は楽しそうなのに、なんで私だけ失恋したんだろう」
  • 「仕事で失敗してしまった…もう立ち直れない」

そんな不安をやわらげる方法のひとつが、心理学でいう「下方比較(かほうひかく)」です。これは人を見下すものではなく、セルフケアのスキルとして研究されている手法です。

不安の正体と「第二の矢」

仏教の教えに「第二の矢」というお話があります。人は予期せぬ出来事(第一の矢)に苦しむだけでなく、その後「どうして私だけが…」「また失敗するかも」と自分に矢を放ち、苦しみを増やしてしまうのです。

つまり、不安の多くは出来事そのものではなく、自分の思考が生み出すもの。ここに気づくことが第一歩になります。

なぜ人は不安を抱くのか?

動物は「今この瞬間」を生きています。しかし人間は知性がある分、過去を後悔し未来を不安視してしまいます。これは人間の強みであると同時に“呪い”にもなり得ます。

そこで役立つのが「下方比較」です。状況を相対的にとらえることで、「自分は案外大丈夫かもしれない」という視点を持てるのです。

下方比較とは?

心理学者フェスティンガーの「社会的比較理論」に由来する考え方で、自分より厳しい状況にある人を思い浮かべることで、現状の受け止め方を変える方法です。

例えば…

  • 通勤で嫌なことがあったとき、「通勤できない人もいる」と考えてみる
  • 失恋で落ち込んだとき、「恋をする心があること自体すごい」と気づく
  • 子育てで怒ってしまったとき、「そばで育てられること自体ありがたい」と思う

ここで大切なのは「他人を見下す」ことではなく、「自分の状況を肯定する視点」を持つことです。

私自身の体験

私は過去にがんの再発検査を受けることになったとき、恐怖で心が押しつぶされそうになったことがあります。しかし「世界には治療を受けられない人もいる」と思い至った瞬間、心の中に感謝の気持ちが生まれ、不安が少し和らぎました。

不安が消えるわけではありませんが、「ありがたい」という視点が入ると、恐怖に飲み込まれずにいられるのです。

下方比較の効果と注意点

人の幸福感は「相対的」に決まることが研究で分かっています。しかし下方比較を「人を見下す材料」にしてしまうと逆効果。大切なのは感謝と共感をセットにすることです。

日常で使えるワーク

  • ワーク1:困ったときの「3人想像法」
    不安なとき、自分より大変な状況にある3人を思い浮かべてみる。
  • ワーク2:過去の自分と比べる
    「不登校だった中学時代の自分」と「今の自分」を比べるなど。
  • ワーク3:感謝日記とセットで
    「今日も食事ができた」「空がきれいだった」と感謝を記す。

まとめ

不安は「大切なものがある証」でもあります。大事なのは、それに押しつぶされない工夫です。下方比較を「やさしい視点」として取り入れることで、不安を和らげ、自分をいたわることができます。

あなたの心が少しでも軽くなることを願っています。


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