こんにちは。公認心理師のかぼです。
「集中したいのに、すぐ気が散る」
「ミスや抜け漏れが増えて、自己嫌悪になる」
「休みの日でも、なぜか心が落ち着かない」
もしあなたが最近こんな状態なら、今日の記事はきっと役に立ちます。
実は、こうした不調の裏には、はっきりした原因があります。
それは…マルチタスク習慣です。
この記事では、なぜマルチタスクが脳を疲れさせるのかを心理学的に整理し、
そして「健康的な脳」を取り戻すためのたった一つの鍵、シングルタスク脳になる方法をお伝えします。
最近増えている「情報疲労症候群」とは?
みなさんは「情報疲労症候群」という言葉を聞いたことがありますか?
これは1990年代にイギリスの心理学者デヴィッド・ルイスが提唱した概念で、
あまりにも多すぎる情報にさらされ続けることで、脳と心が疲弊してしまう状態を指します。
私たちはスマホやSNSの登場によって、毎日とてつもない量の情報を処理する生活になりました。
その結果、頭がパンパンになって、思考停止したり、イライラしたり、疲れやすくなったり…。
「情報が多いほど便利」と思っていたのに、実は心と体が削られていく。そんな現象が起きています。
では、なぜ情報が多いと、こんなにも疲れてしまうのか。
いろいろな理由がありますが、最も大きな原因はおそらくこれです。
マルチタスクです。
マルチタスクが当たり前の時代になった
「電話しながら料理」
「Zoom会議をしながら資料を作る」
「YouTubeを流しながらSNSも開いている」
こういう場面、思い当たりませんか?
昔はこういうことは、物理的に難しかったんです。
たとえば昭和の電話は固定電話で、コードが短い。キッチンまで移動しようとすると途中で切れてしまう。
でも今は、スマホ一台でどこでも電話ができるし、通知も飛んできます。
そしてマルチタスクを加速させたのが、2020年のコロナ禍でした。
在宅勤務とオンライン授業が当たり前になり、家事・育児・仕事が全部同時進行に。
「ずっと追われている」「何も終わった気がしない」「疲れてるのに眠れない」
そんな声が一気に増えました。
実は私も教員時代、中学3年の担任をしていた頃に、業務が重なりすぎて限界だった時期があります。
ある日スマホをなくして大騒ぎしたんですが、見つかった場所は…なんと冷蔵庫の中でした。
これは自分でも「マルチタスク疲れのサインだな」と感じた出来事です。
なぜマルチタスクは脳を疲れさせるのか?
結論から言います。
脳は一度にひとつのことしか、本気で処理できないようにできています。
「同時にいろいろできる人が優秀」
そう思われがちですが、実は脳は同時に処理しているようで、実際は高速で切り替えているだけです。
そしてこの「切り替え」こそが、脳を消耗させます。
タスクを切り替えるたびに、脳はギアチェンジをする。
集中の状態をいったん壊し、また作り直す。
それを何十回、何百回と繰り返したら…疲れるのは当然ですよね。
マルチタスクの影響①:集中力が大幅に低下する
マルチタスクを頻繁にする人ほど、注意の切り替えが苦手になり、無関係な情報に惑わされやすくなると言われています。
「集中したいのに、できない」状態が続くと、自信も削られてしまいます。
マルチタスクの影響②:IQが下がる(作業中の一時的低下)
複数の作業を同時に行うと、思考力が落ちるという報告もあります。
つまり頭が悪くなったのではなく、脳が混乱して、本来の力が出せなくなっているだけなんです。
マルチタスクの影響③:作業スピードが落ちる
実はマルチタスクは「効率的に見えるだけ」で、結果的には時間がかかります。
早く終わらせるつもりで同時進行しているのに、終わらない。疲れる。達成感もない。
これがいちばん苦しいパターンです。
マルチタスクの影響④:脳の部位に影響する可能性
マルチタスクが習慣になっている人は、脳の「前帯状皮質」という部分に変化が見られたという報告があります。
この領域は、感情コントロール・集中力・共感などに関わります。
つまりマルチタスクは単なる「疲れ」ではなく、心の安定にも影響しうるということです。
あなたは大丈夫?マルチタスク習慣チェックリスト
以下の項目に、あなたはいくつ当てはまりますか?
- スマホをいじりながら食事をすることが多い
- 音楽や動画を流しっぱなしで作業していることが多い
- 通知が来ると、すぐ作業を中断して確認してしまう
- YouTubeを見ながら、別のアプリでSNSも開いている
- 複数のタブやアプリを常に開いて、切り替えている
- 作業中に「今何をしてたっけ?」となることがある
- 同時にいろいろやると完成度が落ちる気がする
- やることが頭の中に多すぎて落ち着かない
当てはまる数が多いほど、脳は疲れやすい状態になっている可能性があります。
でも安心してください。今から変えられます。
結論:「たった一つの鍵」はシングルタスク脳になること
今日いちばん大事な結論です。
健康的で安定した脳を取り戻すための鍵は、シングルタスク脳になること。
シングルタスク脳になると、こんな変化が起きます。
- 集中力・記憶力が上がる
- ミスが減る
- 仕事の効率が上がって時間に余裕ができる
- ストレスが減って、心が安定する
- 幸福感がじわじわ戻ってくる
シングルタスク脳になる方法7選(今日からできる)
①タスクを「見える化」する
頭の中だけで覚えようとすると、脳が迷子になります。
まずはToDoを紙やメモに書いてください。
ポイントは「今日やることは3つまで」に絞ることです。
②今やっている作業を紙に書く
「いまやっていること:〇〇」と付箋に書いて机に貼る。
これだけで脱線が減ります。視覚は思った以上に強い味方です。
③通知をオフにする
集中力の最大の敵は、外からの割り込みです。
スマホは別室に置くのが理想。
パソコンの通知も切って、「こちらが見る時間を決める」ことが重要です。
④ポモドーロ・テクニックを使う
25分集中して、5分休憩。
この「25分」は絶対にひとつの作業だけ。
短い集中を積み重ねると、脳が回復していきます。
⑤切り替え時間を作る
作業の切り替えは、脳に負担がかかります。
5〜10分だけでいいので、ストレッチやお茶など、リセット時間を入れましょう。
⑥「ながら作業」を減らす
BGMや動画の流しっぱなしは、思った以上に脳を消耗させます。
どうしても音がほしいときは、自然音など「意味のない音」がおすすめです。
⑦小さな完了感を味わう
1個終わったら「よし、終わった」と言葉にしてOKです。
達成感が脳のエネルギーになります。
シングルタスク脳は、根性ではなく習慣で育ちます。
シングルタスクは「意志」ではなく「仕組み」で作る
ここがとても大事です。
シングルタスクは気合いで頑張るものではありません。
意志の力だけに頼ると、必ず疲れます。
だからこそ必要なのは「集中しやすい環境」を整えること。
つまり、あなたが弱いのではなく、環境が脳に合っていなかっただけです。
まとめ:脳が本来持つ力を信じて「ひとつ」に戻そう
マルチタスクを続けると、集中力が下がり、ミスが増え、疲れが抜けず、心まで不安定になります。
でもそれは「あなたの能力が落ちた」のではありません。
脳が本来持つ仕組みに反した生活をしていただけです。
今日の結論はひとつ。
脳が本来持つ力を信じて、ひとつに集中する。
今日から、たった一つでいいのでやってみてください。
小さな一歩が、あなたの脳と心を静かに回復させてくれます。
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