こんにちは、公認心理師のかぼです。
皆さんはこんなふうに思ったことはありませんか?
- 「なんで私はこんなに頑張っているのにうまくいかないんだろう」
- 「周りの人はスムーズに物事をこなしているのに、自分だけ不器用だ」
- 「なんだか気分が沈みがちで元気が出ない」
こうした気持ちの背景には、思考のクセが隠れていることがあります。
今回は、幸せを邪魔する3つの思考パターンと、その改善方法をご紹介します。
1.完璧主義
完璧主義とは「100%でなければ意味がない」「不完全は許せない」と考えるクセのこと。
常に高い目標を掲げて全力で取り組むため、精神的にも肉体的にも疲れやすくなり、燃え尽き症候群に陥ることもあります。さらに、達成できなかったときには強く自分を責め、自己肯定感が下がってしまいます。
完璧主義の人は「まだ足りない」と考え続けるため、成果に満足できず、「完璧にできないならやらない方がいい」と挑戦を避けるようになりがちです。これではチャンスを逃してしまいますよね。
改善法:「80%でオッケー」と考える
心理学では「サティスファイサー」という考え方があります。
これは「十分に満足できる選択肢を見つけたら、そこで決断するタイプの人」を指します。完璧を求めず「これで十分!」と考える習慣を身につけることで、気持ちがぐっと楽になります。
たとえばスティーブ・ジョブズ氏。彼は完璧主義者として知られていますが、同時に「まず世に出して改善していく」という柔軟さも持っていました。初代iPhoneにはコピーペースト機能すらありませんでしたが、ユーザーの声を反映しながら進化を続け、大成功につながったのです。
「完璧よりも進化」——この視点を日常に取り入れてみましょう。
2.他人と比較するクセ
SNSを見ると「友達が海外旅行に行って楽しそう」「新しい洋服が似合っていて羨ましい」と感じ、つい自分と比べて落ち込んでしまうことはありませんか?
人間は本能的に他人と比べる性質を持っています。集団で生き残るため、自分の立ち位置を確認してきたからです。しかしSNSでは「きらびやかな一瞬」だけが切り取られているため、比較によって「自分は劣っている」と感じやすくなってしまいます。
研究でも、SNSで比較が多い人ほど幸福度が低下し、抑うつ傾向が強まることが示されています。
改善法:「昨日の自分」と比べる
大切なのは他人ではなく「過去の自分」と比較すること。
「昨日より少し早く起きられた」「仕事の資料を1ページ多く作れた」など、小さな成長を見つけましょう。
おすすめは成長日記です。毎日「今日できたこと」を3つ書き出すだけで、自分の積み重ねに気づき、他人との比較から解放されます。
本田宗一郎氏や稲盛和夫氏など、多くの成功者も日記を活用していました。
昨日の自分を超えることこそ、最大の成長です。
3.過去や未来にとらわれる
「大学受験に失敗したことがトラウマ」「老後の資金が不安」「この先の仕事が心配」――過去の後悔や未来への不安は尽きません。
これは脳の仕組みによるものです。過去の経験を振り返り、未来の危険を予測することで生存確率を高めてきたからです。しかし現代では悩みが複雑化し、脳が疲弊してしまいます。
スタンフォード大学の研究によれば、過去にとらわれやすい人は抑うつ傾向が強く、未来を過度に心配する人は不安障害になりやすいとされています。
改善法1:マインドフルネス
幸せを感じられるのは「今、この瞬間」だけ。
深呼吸や食事の味に意識を向けるなど、五感を使って「今」に集中する練習をしてみましょう。
私自身も抗がん剤治療中、森の中を散歩して風の音や鳥の声に耳を澄ます「森のマインドフルネス」を実践していました。心が整うだけでなく、不思議と治療の効果も高まったように感じています。
改善法2:グランディング(5-4-3-2-1テクニック)
- 見えるもの5つ:「カーテン、時計、本、スマホ、机」
- 触れられるもの4つ:「洋服の生地、床の冷たさ、コップ、髪の毛」
- 聞こえる音3つ:「時計の音、鳥のさえずり、遠くの車」
- 香り2つ:「コーヒーの香り、ハンドクリーム」
- 味1つ:「ガムや飲み物の後味」
こうして五感を順に意識することで、心が「今・ここ」に戻り、不安や後悔にとらわれにくくなります。
まとめ
幸せを邪魔する思考のクセは次の3つです。
- 完璧主義 → 「80%でオッケー」と考える
- 他人と比較するクセ → 「昨日の自分」と比べる
- 過去や未来にとらわれる → 「マインドフルネス」と「グランディング」
これらは特別な才能や努力を必要とせず、日常生活の中で実践できます。今日から少しずつ取り入れてみてくださいね。
皆さんの毎日が、より穏やかで幸せなものになることを願っています。
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