人と話したあと、家に帰って一人になった瞬間、こんなふうに考えてしまうことはありませんか?
「あの一言、大丈夫だったかな……」
「今の言い方、変じゃなかったかな」
「相手の表情が少し曇った気がする」
「もしかして、嫌な気持ちにさせてしまったかもしれない」
そんなふうに、頭の中で反省会が止まらなくなる。
人と会っているときは何とか笑顔で過ごせるのに、一人になった途端、会話の一つひとつを思い出して不安になってしまう。
相手のちょっとした表情や、返事のトーンが気になってしまう。
そして最後には、
「やっぱり私は気にしすぎなのかな」
「こんな自分は面倒くさいのかな」
と、自分を責めてしまう。
もし今、そんな気持ちを抱えているなら、まず最初にお伝えしたいことがあります。
人の目が気になるあなたは、弱い人ではありません。
むしろ、人の気持ちを感じ取れる、とても優しい人です。
ただ、その優しさが強すぎると、知らないうちに人生のハンドルを他人に渡してしまうことがあります。
つまり、「他人軸の人生」になってしまうのです。
他人軸の人生になると、嫌われないように行動したり、空気を読みすぎたり、本音を言えなくなったりします。
そして気づいたときには、
「私は本当はどうしたかったんだろう」
と、自分の気持ちが分からなくなってしまうことがあります。
でも、安心してください。
他人軸は、少しずつ変えていくことができます。
この記事では、他人軸から抜け出し、自分軸で生きるための3つの心理習慣をお話しします。
他人軸から抜け出す心理習慣1|「他人の期待」と「自分の望み」を分ける
まず一つ目は、他人の期待と自分の望みを分けて考えることです。
人の目が気になる人には、ある共通点があります。
それは、他人の期待と自分の望みが混ざってしまっているということです。
たとえば、こんな選択をしていないでしょうか。
- 親が喜ぶから、この仕事を選ぶ
- 周りがやっているから、この選択をする
- 迷惑をかけないように、自分が我慢する
- 嫌われないように、本音を飲み込む
一見、とても立派なことのように見えます。
でもその中には、
「本当は違うけど……」
という気持ちが、少しだけ隠れていることがあります。
ここで、簡単なワークを一つ紹介します。
紙かノートを用意してください。
そして、真ん中に線を引きます。
左側に書くのは「他人の期待」。
右側に書くのは「自分の望み」です。
たとえば、左側にはこう書きます。
- ちゃんとしている人と思われたい
- 空気を読める人と思われたい
- 優しい人と思われたい
- 迷惑をかけない人と思われたい
そして右側には、こう書いてみます。
- 本当は少し休みたい
- 本当は断りたい
- 本当は一人になりたい
- 本当は自分の意見を言いたい
これをやってみると、多くの人が驚きます。
なぜなら、自分の本音をほとんど考えていなかったことに気づくからです。
実際にこのワークをやった方から、こんなお話を聞いたことがあります。
最初は、ほとんど「他人の期待」ばかりで、自分の望みがなかなか書けなかったそうです。
でも続けていくうちに、
「本当は疲れていたんだな」
「本当は無理していたんだな」
「本当は断りたかったんだな」
そんな気持ちに、少しずつ気づけるようになっていきました。
すると不思議なことに、周りの人の意見に前ほど振り回されなくなってきたそうです。
「どう思われるか」よりも、
「自分はどうしたいか」
を少しずつ考えられるようになっていったのです。
人の目が気になる人は、優しい人です。
だから、他人の期待を一生懸命に考えてきました。
でも、自分の望みを考える時間は、ほとんどなかったのかもしれません。
まずは、そこに気づくだけで大丈夫です。
「これは他人の期待だろうか?」
「これは自分の望みだろうか?」
そうやって分けて考えるだけで、自分の気持ちが少しずつ見えるようになります。
自分の気持ちが分かるようになると、人の目に振り回されることは、少しずつ減っていきます。
他人軸から抜け出す心理習慣2|「嫌われない人生」ではなく「後悔しない人生」を基準にする
二つ目は、嫌われない人生ではなく、後悔しない人生を基準にすることです。
人の目が気になる人は、無意識のうちにあるルールで生きています。
それは、
嫌われないこと
です。
嫌われないように言葉を選ぶ。
嫌われないように空気を読む。
嫌われないように相手を優先する。
これは、とても素晴らしい能力です。
でも、ここに一つだけ問題があります。
それは、嫌われない人生が、満たされる人生とは限らないということです。
本当はやりたいことがあるのに、周りの目が気になって挑戦しない。
本当は断りたいのに、嫌われるのが怖くて引き受ける。
本当は違う道に進みたいのに、期待に応えるために我慢する。
こういう選択を繰り返していると、人生のどこかで、
「もっと自分らしく生きればよかった」
という後悔が残ることがあります。
だから、もし迷ったときには、こう自分に聞いてみてください。
「これは嫌われない選択だろうか?」
それとも、
「これは後悔しない選択だろうか?」
もちろん、すべてを自分勝手に決めればいいという意味ではありません。
人への思いやりは大切です。
ただ、自分の気持ちをいつも後回しにしていると、心は少しずつ苦しくなっていきます。
私自身も、進路について両親と大きく意見が分かれたことがありました。
私はずっと美術が好きで、自分の道は自分で決めたいと思っていました。
でも両親は、私に医療の道へ進んでほしいと考えていたのです。
一度はその期待に応える形で、医療系の学校に進みました。
でも、どうしてもその道を続けることができませんでした。
最終的には、自分でお金を貯めて、美術を勉強し直しました。
今、人生の後半になって思うのは、あのとき親の反対があっても、自分で選んだことにまったく後悔はないということです。
「自分で選んだ道」は、かけがえのない自分の人生として存在してくれます。
その選択のおかげで、私は美術の教員として、たくさんの子どもたちと出会うことができました。
そして心理学を学び、カウンセラーとして多くの方の相談に関わることもできました。
もしあのとき、「嫌われない選択」だけをしていたら、今の私はいなかったかもしれません。
だから、もし今迷っている方がいたら、小さくてもいいので、「後悔しない選択」を自分に許してあげてください。
嫌われないように生きると、自分に嫌われてしまうことがあります。
だからこそ、少しずつで大丈夫です。
後悔しない選択を、自分に許してあげてください。
他人軸から抜け出す心理習慣3|小さな自己決定を増やす
三つ目は、小さな自己決定を増やすことです。
自分軸というと、大きな決断を想像する人が多いかもしれません。
- 転職する
- 人間関係を変える
- 人生の方向を大きく変える
- 新しい挑戦を始める
もちろん、そうした大きな決断も自分軸に関係します。
でも実は、自分軸はそんな大きなところだけで作られるものではありません。
自分軸は、日常の小さな決定から作られていきます。
たとえば、
- 今日のランチを自分で決める
- 休日の過ごし方を自分で決める
- 服を自分の好きなもので選ぶ
- 飲みたいものを自分で選ぶ
- 行きたい場所を自分で決める
こういう小さな自己決定を増やしていくと、少しずつ、
「私はこれが好き」
「私はこれは嫌」
という感覚が戻ってきます。
他人軸で生きている人は、つい、
「なんでもいいです」
「どこでもいいです」
「合わせます」
と言うことが多くなります。
これは優しさでもあります。
でも同時に、自分の感覚を使っていない状態でもあります。
自分の感覚を長く使わないでいると、本当に自分が何を好きなのか、何が嫌なのかが分からなくなってしまいます。
だからおすすめなのは、一日に一回でいいので、
自分で決める
ということを意識することです。
小さなことで構いません。
今日飲むお茶を決める。
夕飯のおかずを決める。
散歩する道を決める。
休む時間を決める。
こうした小さな自己決定の積み重ねが、
「自分の人生を自分でコントロールしている」
という感覚を取り戻してくれます。
自分軸は、大きく変わることではありません。
小さく選び続けることで育っていきます。
その積み重ねが、少しずつあなたの人生を取り戻していくのです。
人の目が気になるあなたへ伝えたいこと
ここまで、自分軸で生きるための3つの心理習慣をお話ししました。
- 他人の期待と自分の望みを分けること
- 嫌われない人生ではなく、後悔しない人生を基準にすること
- 小さな自己決定を増やすこと
人の目が気になるあなたは、決して弱い人ではありません。
むしろ、人の気持ちを感じ取れる、とても優しい人です。
ただ、その優しさが強すぎると、人生のハンドルを他人に渡してしまうことがあります。
ここで、少しだけ有名なお話を紹介します。
Appleの共同創業者として知られるスティーブ・ジョブズは、2005年のスタンフォード大学卒業式スピーチで、次のような言葉を語りました。
あなたの時間は限られている。だから、他人の人生を生きて無駄にしてはいけない。
とてもシンプルな言葉ですが、本質をついています。
私たちはつい、嫌われないように周りに合わせて生きてしまいます。
でも、その人生は本当に自分のものなのでしょうか。
誰かの期待に応えることも、もちろん大切です。
しかし、自分の気持ちを置き去りにしたままでは、どこかで心が苦しくなってしまいます。
自分の人生を生きるというのは、特別なことではありません。
大きな決断をすることでもありません。
今日のランチを自分で決めること。
本当は嫌なことに、小さく「NO」と言うこと。
ほんの小さな選択でも、それは「自分で選んだ人生」の一歩です。
そしてその一歩一歩が、少しずつ、あなたの人生をあなたの手に取り戻していきます。
最初は、少し怖いかもしれません。
でも大丈夫です。
完璧にできなくてもいいのです。
少しずつで大丈夫です。
どうか、あなたの人生のハンドルを、少しずつでいいので、自分の手に戻してあげてください。
あなたが選んだ人生は、きっとあなたを裏切りません。
人生の主役は、あなたです。
YouTubeでも心が軽くなる心理の話をしています
このブログでは、心理学や人間関係、自己肯定感、心が少し軽くなる考え方についてお伝えしています。
YouTubeチャンネル「心理カウンセラーかぼ」でも、公認心理師として、日常で役立つ心理の話をやさしく解説しています。
動画でゆっくり聞きたい方は、ぜひYouTubeもご覧ください。
👉 心理カウンセラーかぼのYouTubeチャンネルはこちらhttps://www.youtube.com/@cabo.psychology

