こんにちは、公認心理師のかぼです。
先日、ニュースで「今の日本は子どもの数が減っているのに、不登校の子どもはどんどん増えている」と報道されていました。もし自分の子どもが学校に行けなくなったら、親としてはとても心配になりますよね。
「どうすればいいのか?」「このままでは子どもの将来はどうなるのか?」「何がいけなかったのか?」――そう考えるのは当然のことです。でも、実はその焦りから取る行動が、子どもの心を追い詰めてしまうことがあります。
私自身、中学・高校と不登校を経験しました。当時は「登校拒否」や「非行」と呼ばれていました。そんな私の経験と心理学的な視点から「これは絶対に避けるべき!」という3つの行動について解説していきます。
不登校の親がやってはいけない3つのこと
① 他の子と比べる
「あきらちゃんは元気に学校行ってるのに、なんであなたは行けないの?」――つい口にしてしまいがちですが、これは絶対NGです。
子どもにとって、他人と比べられることほどつらいことはありません。特に不登校の子はすでに「学校に行けない自分はダメだ」と自己肯定感が下がっています。
比べるなら「他の子」ではなく「昨日の子ども自身」。
- 昨日より少し笑顔が増えた
- 部屋から出てご飯を食べられた
- 好きなことに興味を持てた
小さな前進を認めてあげることが、子どもの自信につながります。
② 甘やかしすぎる or 厳しすぎる
「不登校=甘え」と決めつけたり、逆に「何も言えなくなる」ほど気を使いすぎる――この両極端は逆効果になってしまいます。
厳しすぎる例
「いつまで休んでるの?将来ダメになるよ!」 → 子どもは追い詰められ、自己否定感が強まる。
甘やかしすぎる例
「学校に行かなくてもいいよ、ずっと家にいても大丈夫だからね」 → 社会との距離が遠くなり孤立しやすい。
大切なのは「支援的な親(サポーティブ・ペアレンティング)」になることです。心理学者バウムリンドの研究によれば、この育児スタイルが最もバランスが良いとされています。
支援的な親の5つの特徴
- 温かい関係を築く(心理的安全性)
子どもが安心して気持ちを話せる環境をつくり、共感を示す。 - 適度なルールを設ける(構造化)
生活習慣を整えるルールを一緒に決める。 - 子どもの自信を育てる(自己効力感)
小さな成功体験を積ませ、「やればできる」という感覚を育む。 - 自主性を尊重する(自律支援)
「今日はどう過ごす?」など、選択肢を与えて自己決定感を育てる。 - 長期的な視点で見守る
子どもの成長のペースを尊重しながらサポートする。
全てを完璧にする必要はありません。できるところから実践してみてください。
③ すぐに解決しようとする
「どうすれば学校に行けるようになる?」とすぐに解決を求めるのは落とし穴です。不登校の背景には、友人関係・体調・勉強・発達の問題など、さまざまな要因があります。
焦って無理に「学校へ戻そう」とすると逆効果。まずは子どもの気持ちを理解し、耳を傾けることが大切です。
- 玄関を3メートル出てみるだけ
- フリースクールやオンライン学習を一緒に探す
- 図書館や自然の中に出かける
- 趣味や習い事を試す
- 専門家に相談する
大切なのは、子ども自身が「自分で決めた」と感じられることです。
親御さんへのメッセージ
不登校の相談に来られる親御さんの多くが「私の育て方が悪かった」と自分を責めます。でも、不登校は家庭の問題だけでなく、社会全体の課題でもあります。
2024年のデータでは、日本の公立小中学校での不登校は34万6千人。決して一人の責任ではありません。このブログが少しでも支えになれば嬉しいです。
まとめ
- 他の子と比べる
- 甘やかしすぎる or 厳しすぎる
- すぐに解決しようとする
――これら3つは避けるべき行動です。大切なのは「子どもの気持ちを尊重しながら寄り添うこと」。焦らず、安心できる環境を整えることが回復の第一歩になります。
お子さんの不登校で悩み、自分を責めてしまうあなたへ。どうか一人で抱え込まず、一歩ずつ進んでいきましょう。
「この記事の内容をさらに深く知りたい方は、こちらの動画で解説しています」