なぜ「頑張りすぎる人」ほど心を壊してしまうのか?心理学と実体験からのヒント

心が軽くなる心理学
夜、布団に入って目を閉じた瞬間、心がざわつくことはありませんか?
「また今日もできなかった」「ちゃんと断れなかった」──そんな自分を責める声が頭の中で止まらない。
誰にも迷惑をかけたくない。嫌われたくない。だから笑顔で頑張る。でも帰宅するとどっと疲れて動けなくなる。
こうした毎日を過ごす中で、気づかないうちに心が静かにすり減ってしまう人が増えています。

こんにちは、公認心理師のカボです。私は元教員で、これまでに3度のがん治療を経験しました。身体の限界だけでなく、心の限界とも何度も向き合ってきました。そこで痛感したのは、「心の限界は自分でも気づきにくい」ということです。

頑張りすぎる人の「こころのクセ」

「頑張りすぎる人」には共通点があります。

  • 「ちゃんとしなきゃ」「迷惑かけちゃいけない」が口癖
  • 小さなミスでも必要以上に自分を責める
  • 周りに頼れず、全部を抱え込む
  • 弱音を吐けず、「大丈夫な自分」を演じる

心理学では「過剰適応」や「回避型愛着スタイル」と呼ばれます。子どものころ「いい子にしていなさい」と言われ続けた経験や、親の期待に応えることを優先してきた背景が影響していることもあります。

社会の「自己責任」文化も拍車をかけ、「もっと努力しなければ」と自分を追い込みやすい環境が整ってしまっています。特に真面目で誠実な人ほど、自分の気持ちを後回しにしてしまうのです。

大坂なおみ選手の例

2021年、プロテニス選手の大坂なおみさんはうつ状態を公表し、全仏オープンを棄権しました。
「人の目に映る自分と、本当の自分の間にギャップがあった。無理して笑っていたけど、心は泣いていた。」
彼女の言葉は、多くの人に「自分を守る勇気の大切さ」を伝えました。
成功している人でさえ、責任感が強い人でさえ、心は壊れてしまうことがあるのです。

脳と心に起きる見えない変化

慢性的なストレスは脳に大きな影響を与えます。

  • 恐怖や不安を感じ取る「扁桃体」が過敏になる
  • 冷静さを司る「前頭前野」が働きにくくなる
  • ストレスホルモン「コルチゾール」が過剰になり、記憶を司る「海馬」が萎縮する

その結果、眠れない、イライラする、楽しめない、頭がぼんやりする──といった不調が起こりやすくなります。これは決して「気の持ちよう」ではなく、脳の変化として起きている現象なのです。

心を守るための3つの習慣

心が壊れてしまう前に、今日から取り入れられることがあります。

① 1日5分、自分の状態を感じる

深呼吸をしながら「今、私はどんな気持ちかな?」と自分に問いかける。
マインドフルネスは扁桃体の過活動を抑え、前頭前野の働きを整える効果があると科学的に示されています。

② 自分をねぎらう言葉をかける

「今日もよく頑張ったね」「疲れててもやり切ったね」──そう声をかけることで、脳は安心を感じます。
特に「スリーグッドシングス」(1日の良かったことを3つ書く習慣)は幸福感を高める効果があります。

③ 弱音を吐ける相手を一人だけ持つ

「何人」ではなく「誰に」本音を話せるかが大切です。
私自身も、抗がん剤治療中に友人から届いた「愚痴はいくらでも聞くよ」という手紙に救われました。
誰かに話すことは、自分の感情を「放す」ことにつながります。

まとめ

心が壊れるのは弱いからではなく、むしろ頑張り屋で優しいあなただからこそ。
だから、自分にこう言ってあげてください。

  • 休んでもいい
  • 頼ってもいい
  • 泣いてもいい

その小さな許可が、あなたの心を守る力になります。あなたの明日が穏やかでありますように。

今回の記事は、YouTubeチャンネル「心理カウンセラーかぼ」の動画をもとにまとめました。
より詳しい解説は動画でご覧いただけます。

👉 心理カウンセラーかぼのYouTubeチャンネルはこちらhttps://www.youtube.com/@cabo.psychology

タイトルとURLをコピーしました